格闘技・世界最強「ヒクソン・グレイシー」
400戦無敗の男
ヒクソン・グレイシーといえば、往年のプロレスファンにとっては高田延彦と2度ファイトしたことでよく知られています。
ヒクソン・グレイシーの叔父はカルロス・グレイシーという武術家で、日本人柔道家である前田光世の教えを受けたのちに「グレイシー柔術」という新たな格闘術を生み出した人でした。
このグレイシー一族は格闘家としての血に恵まれていたのでしょう、さらにそのグレイシー柔術を自分のものとし最強と言われるほどの力を手に入れたのがヒクソン・グレイシーということになります。
ふつう武術家や格闘家として活動をする人の場合、「プロレスラー」や「柔道家」のようになんらかの特定の格闘ジャンルを名乗るものですが、グレイシーにおいてはそうしたこともなく総合格闘術として日本でも人気の格闘技大会に出場をしてはその力を見せつけています。
グレイシー柔術とは
グレイシー柔術とは別名「ブラジリアン柔術」とも呼ばれる、柔術をベースにした新しいタイプの武術です。
始祖となったのは前田光世という日本からブラジルに渡り移民となった人物で、自らがプロレスラーとして活躍をしていく中で見つけた技術といわれています。
この柔術をもとにした技術はのちにエリオ・グレイシーやカーロス・グレイシーなどのグレイシー一族に伝えられていくことでより洗練された形になりました。
現在でもブラジル内のリオデジャネイロやサンパウロといった大きな都市にはこのブラジリアン柔術を修得するための道場がいくつも存在しています。
グレイシー柔術(ブラジリアン柔術)の最も大きな特徴となっているのが、小柄な体格でも大きな相手に対して有効な攻撃を与えることができるということです。
技術的には関節技や絞め技といった柔道の寝技にあたるものが中心になっており、サブミッションにより一本をとることが基本的な技術になります。
うまく関節技や絞め技が入らなかった場合には体制をより相手に対して有利にとることができたかによりポイントが付けられることとなっています。
現在ではブラジリアン柔術は総合格闘技の基本的な技術として有名になっており、総合格闘技の選手のうち約8割はこのブラジリアン柔術の基本的な技をマスターしているといいます。
それでいながら決して技そのものの難易度は高いわけではなく、全く格闘技経験のない素人でも始めやすいということが利点になっています。
これからも人気の格闘技として世界的に数多くの競技人口を獲得していくことでしょう。
心の強さを武器にして戦う
ヒクソン・グレイシーは日本の格闘技ファンにも知られる有名人であり、当時の強さをよく知る人達に向けていくつかの書籍も著しています。
その中の一つに「心との戦い方」というものがあり、そこでは過去に実際に戦った高田延彦など幾人かの格闘家についての印象をまとめています。
簡単に内容を抜粋すると、日本のプロレスはいわばショーとしての格闘技であり、いくらそこで長く活躍をしたとしてもそこから強くなれることはないといいます。
本当の強さはプレッシャーのあるリアルファイトでのみ養われるものであり、試合中の不測の事態から対応力をつけていかなくては強くなることはできないということです。
また一流の格闘家が超一流になるためには、この心の強さを備えていかなくては不可能であり、そのためには自分の感情をコントロールしプレッシャーに勝てるようにならなくては、敵にも勝つことはできないということです。
これは格闘に限らず普段の生活を送る私達にも強く響いてくる言葉です。