氷の拳「エメリヤーエンコ・ヒョードル」
スピードとパワーの両方を備えた最強選手
エメリヤーエンコ・ヒョードルといえば、ロシア出身のトータルファイターとして日本でも有名になった人物です。
日本でも人気の総合格闘技であるPRIDEにもたびたび出場しており、有名選手を次々と打ち破っていったことから「氷の拳」という異名も付けられていました。
PRIDEはやがて日本では行われなくなってしまいましたが、そののちにはアメリカに渡りStrike forceという同様の団体での大会で次々に戦績を挙げていきます。
しかしやはり寄る年波には勝てなかったのかここ最近では敗戦も多くなってきており、引退をほのめかすような発言も目立つようになってきました。
とはいえまだまだま30代と若いので、今後またカムバックをしてくれることも待たれます。
全盛期に見せたおそるべき力
エメリヤーエンコ・ヒョードルの強さを知っている人間なら、全盛期のヒョードルには誰がどんなふうに挑んでも絶対勝てそうもないというふうに感じたことがあるはずです。
全盛期のヒョードルは人並み外れたスピードが最大の持ち味となっており、ヘビー級の大きな体格をしていながら誰よりも素早く移動ができるという集中力を持っていました。
その早さこそが異名である「氷の拳」を作り出す源となっており、素早い踏み込みにより繰り出すパンチは本職のボクサーと比較しても全く引けをとらないすさまじい破壊力を持っていたといいます。
全盛期には他にも多くの有名選手がいましたが、その中の一人ミルコ・クロコップは「あんなに強く殴られたことはなかった」とヒョードルのパンチを最上級に賞賛しています。
日本人では柔道家から転向した石井彗と対戦しており、パンチで石井の鼻の骨を砕いたことで勝利しています。
また攻撃だけでなく打たれ強さも持っていたことでも知られており、相手の技を受けてもすぐに立ち上がり攻撃を開始するというタフさを持っていたことで対戦する相手を威圧してきました。
練習方法はシンプルで原始的
今どきの格闘家は、より短い時間で多くの効果を出そうとするせいか、最新のトレーニング機器を時間を決めて使用したり、栄養管理やプロテインの配合といった科学的な手段にはしりがちですが。
ですが全盛期にヒョードルが行っていたトレーニングは実にシンプルで、故郷ロシアの山林を長く走りこみ、腕立て伏せや腹筋といった器具を使わない方法で行っていました。
そのためでしょうかヒョードルがリングに上がった時に見せる筋肉の形は他の科学的トレーニングを積んだ格闘家とはあきらかに異色なものとなっており、自然が創りだした筋肉という原始的な強さを感じさせる骨太なものでした。