忍者の衣装
忍者の装束に隠された秘密とは
忍者スタイルといえば黒装束に目の部分だけが開いたマスクをかぶったものが代表的です。
サムライが着物に袴スタイルをしているのに対し、忍者の黒装束は体にピッタリした動きやすい形をしています。
忍者スタイルは外国人からも人気が高いこともあり、かつて忍者の里があったとされる現在の観光地ではレンタルをして写真撮影などをすることができます。
コスプレ用に本格的な忍者衣装が多く販売をされているものを見かけますが、実際に活躍をしていた忍者たちがしていた格好とは少し違っています。
夢のない話をしてしまうと、実際の忍者はそうした黒装束をまとって活動をしていたことはなく、本当の忍者は一般の農民やサムライと同じような服装をしていたと言われています。
考えてみれば忍者の最も重要な役目は隠密行動やスパイ活動なので、あんな黒装束でいかにも忍者とわかるような格好をしていたら隠密活動なんてできるわけがありません。
ですので忍者が自分のことを忍者として名乗るということはまずなく、仮に忍び込みなどの活動をするときであっても完全に黒装束を着用することは少なかったといいます。
ただ絶対に黒装束を着なかったというわけでもないようで、現在まで使用された用具や衣装がいくつか残されています。
忍者の黒装束の構成
忍者の使用する黒装束の基本は、頭巾に上衣と活袴に分かれた着物、足袋と足袢といったものです。
一般の着物の場合体にゆるくまとう形になるので、素早く走ったり飛んだりするには不向きです。
そこで忍者の装束では足元や手許の動きを阻害しないように体にしっかりフィットするように作られています。
また戦闘になったときに体を守るために上衣の下には鎖帷子を使用していたとされており、身軽そうに見えても実際にはかなりの重量だったのではないかということも言われています。
それと活袴の下には下着は着用せず、すぐに用が足せるように真ん中で開くような作りをしていたという話も残っています。
黒装束のトレードマークとも言えるのが頭巾ですが、これにもいくつかのタイプがあり丸みがあって頭全体を包み込むマスクタイプのものもあれば、先端が尖った形をしていて顔から肩にかけてすっぽりと覆うようなタイプのものもあったようです。
丸いタイプの頭巾を「平頭巾」、尖ったタイプを「イカ頭巾」と呼ぶこともあり、忍者の流派や時代など場面によってどういったタイプが多く使用されていたかということが分かれます。
くのいちは実在したか?
漫画やドラマで非常によく見かけるのが「くのいち」という女性の忍者ですね。
創作に登場する女性忍者というのはやたらと色っぽい格好をしていたり、到底実用性に乏しい派手な忍者風衣装をまとっていますが、当然のことながらそれは史実では全くありえないことです。
ただくのいちという仕事そのものは存在をしていたようで、武田信玄に使えたとされる歩き巫女など集団で訓練を受けて活動をしていたという記録があります。
しかしその役目は男性忍者とは異なり主に女という武器を生かした情報収集で、芸人などを装いつつ体を売ったりしながら要職についているサムライたちから情報を集めていったとされています。
ですのでくのいちがやたらと色っぽく描かれるという描写そのものが間違っているというわけではないとも言えます。
ましてや観光地などで着ることができる女性用のピンクや花柄の装束が存在していたわけもなく、それらはあとからファッション用に作った衣装であるということになります。