メガテリウム

メガテリウム

今は絶滅した世界最大のナマケモノ

ナマケモノといえば、動作がゆっくりながら愛らしいフェイスが人気の動物です。
ナマケモノの体長は70センチくらいで、体重は重くても8キロと、実際には猫とそれほど変わらない重さです。
一生のほとんどを木の上で過ごす、なんともユーモラスな生き物です。

このナマケモノですが、今から100万年ほど前に世界最大のナマケモノがいたということは知っていますか?
体長はなんと6メートル、体重は3トンと、今のナマケモノのなんと10倍もの大きさです。
今のナマケモノは動作が遅く、草食動物ですが、世界最大のナマケモノ「メガテリウム」も同じく草食動物だと言われています。

今では想像もできないほど食欲が旺盛で、骨格や爪からメガテリウムがしっかりと木を抱え込んで葉を食べていたことがわかっています。
動作はというと、今のナマケモノと変わらずやっぱり遅かったようです。
なぜメガテリウムは、他の肉食動物に捕食されずに生き延びることができていたのでしょうか。

メガテリウムが生存していた当時、メガテリウムが生息していた南アメリカでは、向かうところ敵なしの生き物でした。
その理由は当時の南アメリカが他の陸地と繋がっておらず、オーストラリアのように一つの孤立した大陸だったことと関係しています。
つまりメガテリウムには天敵がいなかったため、襲われる心配がなく、南アメリカでは無敵の存在となったということなのです。

食物連鎖では、弱い生き物は強い生き物によって淘汰されていき、やがては絶滅してしまうこともあります。
ところが300万年前の南アメリカには肉食獣が生息していなかったため、ナマケモノは安心して暮らすことができていました。
そのような環境の中、世界最大のナマケモノが誕生したというわけです。
ナマケモノにとって、当時の世界はまさにパラダイスだったのでしょう。

人間に狩りつくされてしまったため絶滅

なぜメガテリウムは絶滅してしまったのでしょうか。
地殻変動によって北アメリカ大陸と陸続きになったことで、肉食獣が侵入してきたからでしょうか?
実はその後、人間が南アメリカにやってきて、メガテリウムを狩るようになったからです。

食肉にするため、もしくは毛皮を捕獲するためでしょう。
人間が野蛮にもメガテリウムを狩り尽くしてしまったので、瞬く間に絶滅してしまったというのです。
今ではその骨でしかメガテリウムを知ることができません。

動物の最大の敵は、動物の中でも高い知能を持った人間なのです。
なんとも皮肉な話ですが、これも食物連鎖の一つなので仕方がないことなのかもしれません。
化石から最後にメガテリウムが生存していたのは今から1万年前のことだそうで、それ以降化石の記録がないことから絶滅してしまったと考えられています。