フクロオオカミ

フクロオオカミ

トラのような縞模様があるオオカミに似た肉食獣

フクロオオカミは、昔はオーストラリアのタスマニア島で暮らしていたフクロネコ目科の肉食獣です。
その姿の特徴は、背中にある縞模様が、まるでトラのようであることでしょう。
そのため、又の名をタスマニアタイガーともいいます。

フクロオオカミは、オオカミとは違う有類ですが、外見や生態はオオカミに似ています。
確かに、頭の部分や歯や顔などはオオカミっぽくも見えますが、腰や尻尾はカンガルーのようです。
夜に活動するようになっていて、獲物であるワラビーをとらえるのも、夜でした。
獲物を捕らえる様子は、走る姿はオオカミで、後ろ足で跳ぶ姿はカンガルーのようだったと言います。

また、オオカミのように、食べのこしてあるエサのところに戻るということは、ありませんでした。
このことから、フクロオオカミはオオカミのような外見ですが、オオカミではない動物だということがわかります。

狩りの競争に敗れたフクロオオカミ

はるか大昔のことです。
フクロオオカミは、ニューギニア周辺の幅広い地域にいました。
しかし、そこに現れた人間によって、その生存が厳しいものになったのです。

というのも、人間が持ち込んだ犬家の肉食獣ディンゴのためでした。
実は、その時、人間、ディンゴ、フクロオオカミは、それぞれワラビーを獲物にした食生活だったからです。
それぞれが狩りの競争相手でしたが、フクロオオカミはその競争に負けました。
そのため、フクロオオカミはディンゴのいないタスマニアの身に、生息することになったのです。

人間の敵となって絶滅

時は経ち、1770年のことです。
キャプテン・クックがオーストラリアに到着し、それに伴ってヨーロッパから、人が多くタスマニアにも流れてきました。
そこで、人々は羊を飼い、生活を始めたのです。
その羊を獲物として、狙ったのはフクロオオカミでした。

そのため、フクロオオカミは家畜である羊を守る人間の敵となったのです。
人間は、あらゆる知恵を使って、フクロオオカミを撃退しました。
銃で撃つこともしましたし、毒や罠も試みたのです。
時には、憎しみを込めて、フクロオオカミの全身がめちゃめちゃになるほどに、殴ったりもしました。

そして、ついに1930年、最後のフクロオオカミは人に撃たれて死亡し、絶滅したかのように思われたのです。
動物園でその後、飼育されたフクロオオカミもいましたが、子孫を残さずに死亡しました。

その後は1937年に目撃され、保護獣になりました。
1957年や1960年にも、その姿が確認されて保護するための保護区もつくられたのですが、その後は姿を現しません。

しかし、まだ、その生存調査は続いています。
オーストラリアで、タイガーキャットという、フクロオオカミに似た動物の目撃証言などが、あるからです。
とはいえ、その情報は明らかではないので、フクロオオカミは人によって、その生態系を壊されたとも言えます。
そのような犠牲を出さないように、環境や生態系に気を配りたいものです。